建設業許可を持つ事業者にとって、毎年必ず行わなければならない重要な手続きが「決算変更届(事業年度終了届)」です。決算が終わってから4か月以内に提出する必要があり、この届出が適切に提出されていないと、建設業許可の更新ができなくなる、経審が受けられないなど、多くのリスクがあります。
本記事では、茨城県北地域(常陸太田市・日立市・高萩市・北茨城市・ひたちなか市・那珂市・常陸大宮市・大子町など)を中心に建設業許可申請をサポートしている行政書士が、決算変更届の目的、必要書類、注意点、スムーズに提出するためのポイントまで、わかりやすく解説します。
決算変更届とは?
決算変更届とは、建設業許可を受けている業者が、毎年の決算内容を行政に報告するために提出する手続きです。建設業法では、許可業者に対して「決算終了後4か月以内の提出」を義務づけています。
この届出は、許可行政の適正な運用のために欠かせないものです。工事経歴や技術者の状況、事業年度の施工金額などが行政によりしっかり把握されることで、健全な建設業界が維持されています。
提出期限:決算日から4か月以内
提出期限は、会社の事業年度の終了日(決算日)から4か月以内です。
例:3月決算 → 提出期限は7月末
過年度未提出の状態が複数年続いてもペナルティといった話は聞きませんが、行政庁の心証は良いものではないでしょう。毎年のスケジュールに組み込んで漏れなく届出していきましょう。
決算変更届の提出書類(茨城県)
茨城県で決算変更届を提出する際に必要な書類は次のとおりです。
- 決算変更届出書(様式第22号の2)
- 工事経歴書(直近1年分)
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
- 財務諸表(建設業用の様式)
- 納税証明書(法人事業税または個人事業税)
- 事業報告書(株式会社の場合)
納税証明書を取得しに行ったりと意外と手間がかかる決算変更届です。費用対効果を考え行政書士へ依頼する事業者様が増えています。
工事経歴書のポイントとよくある間違い
工事経歴書は、直近1年間に行った工事を一覧でまとめる非常に重要な資料です。行政はこの書類をもとに、工事内容や施工能力、工種のバランスなどを把握します。
特に以下の点で誤りが多く、差し戻しにつながるため注意が必要です。
- 契約金額を「税込」で記載 → 正しくは税抜
- 工期の開始日・終了日が契約書と異なる
- 元請・下請の区分が不正確
- 工種(土木一式工事・とび土工工事など)の分類誤り
- 決算書の完成工事高と整合していない
特に「税抜/税込」の間違いは非常に多く、工事台帳と決算書の照合も求められるため、注意が必要です。
建設業用財務諸表の難しさと注意点
建設業の財務諸表は、一般的な会計書類と違い、建設業特有の勘定科目があります。
- 未成工事支出金
- 未成工事受入金
- 完成工事原価報告書
- 工事進行基準の可否判断
税理士が作成する決算書のまま提出してしまい、建設業様式に組み替えられていないケースは非常に多いです。
また、財務諸表は経営事項審査(経審)にも直接関わるため、正確性が求められます。
提出しない場合のリスク|許可更新ができないケースも
決算変更届を提出していない場合、最も大きな問題は「許可更新ができない」点です。
建設業許可の更新申請では、「過去5年分の決算変更届がすべて提出されていること」が前提条件です。提出していない年が1年でもあると、その場で更新不可となったり、急いで過年度分を提出することになります。
特に、
- 個人事業主で制度を知らなかった
- 税理士に任せていたが提出されていなかった
- 建設業許可を取ってから一度も提出していない
といったケースは県北地域でも非常に多く、更新期限に間に合わず許可が切れてしまう事例もあります。また納税証明書は遡って3年分しか発行されませんので、その点にも留意が必要です。
茨城県北地域での提出方法(常陸太田市・日立市・高萩市・北茨城市・ひたちなか市・那珂市・常陸大宮市・大子町など)
県北地域では、提出方法は下記となります。
- 常陸大宮土木事務所へ持参
- 常陸大宮土木事務所へ郵送
持参、郵送共にメリット・デメリットがありますので、ご自身に合った方法で提出するようにしましょう。
決算変更届の準備チェックリスト
- 決算書(税務署提出用)が揃っている
- 工事台帳・注文書・請負契約書が整理されている
- 工事経歴書と決算書の完成工事高が一致している
- 技術者の資格や配置の変更を把握している
- 直前3年の施工金額を集計できている
- 提出期限までのスケジュールを確認している
当事務所では、毎年の届出スケジュールを自動管理し、期限を忘れないように通知するサービスも提供しています。
行政書士に依頼するメリット
- 工事経歴書の正確な作成・整合性のチェック
- 建設業専用の財務諸表への組替え
- 過年度分のまとめ提出にも対応
- 許可更新・変更届との一元管理
一人親方など日中忙しくされている方は、特に書類作成にかける時間が取れないため、行政書士に依頼されるケースが増えています。
まとめ|決算変更届は毎年必須。県北地域の建設業者さまはお早めにご準備を。
決算変更届は、建設業許可を維持するために毎年提出しなければならない重要な書類です。提出期限を守れなかったり、内容に誤りがあると、更新に影響する可能性があります。
常陸太田市を中心とした県北地域で建設業許可・更新・決算変更届をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。「書類が揃っていない」「過年度分がたまっている」「期限が近い」という状態でも対応可能です。
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